WD_BLACK SN850X 4TBの性能・発熱・ゲームロード時間を詳しくレビュー

当ページのリンクには広告が含まれています。
  • URLをコピーしました!
目次

WD_BLACK SN850X 4TBについて

WD BLACK SN850XはWestern Digitalが発売したPCI-E Gen4対応のNVMe SSDです。DRAMキャッシュを搭載した2022年発売の製品です。

Western Digitalは2025年2月24日にフラッシュメモリ事業を分社化し、新会社 SanDisk Corporation を設立しました。これにより、Western DigitalはHDD事業に専念し、SSDなどのフラッシュメモリはSandiskが引き継ぎます。なお、SSDのWD_BLACKやWD_BLUEなどのブランドが今後どのようになるのかは不明です。これまでの製品サポートがなくなるわけではありません。

SN850XはDirectStorageゲームモードに対応しています。

容量と型番ヒートシンク搭載モデルヒートシンク非搭載モデル
8TBWDS800T2XHEWDS800T2X0E
4TBWDS400T2XHEWDS400T2X0E
2TBWDS200T2XHEWDS200T2X0E
1TBWDS100T2XHEWDS100T2X0E
パフォーマンス8TB4TB2TB1TB
シーケンシャルリード(最大)7,200MB/秒7,300MB/秒7,300MB/秒7,300MB/秒
シーケンシャルライト(最大)6,600MB/秒6,600MB/秒6,600MB/秒6,300MB/秒
ランダム読み出し(最大)1,200K IOPS1,200K IOPS1,200K IOPS800K IOPS
ランダム書き込み(最大)1,200K IOPS1,100K IOPS1,100K IOPS1,100K IOPS
SN850X 4TB WDS400T2X0E のパッケージ

製品仕様

  • TLC 3D NAND
  • M.2 2280 [Mキー NVMe SSD]
  • インターフェース:PCIe Gen4 16GT/秒、最大4レーン
  • 動作時温度範囲:0~85℃
  • 製品保証:5年
  • ヒートシンク搭載モデルのみPlaystation5対応

DirectStorageについて

DirectStorageはWindows11で、CPUを介さずにGPUがダイレクトにSSDからのデータを読み込んでビデオメモリに展開することができます。これにより、ゲーム機のようにゲーム機のようにロード時間を短縮して高速なデータ処理が可能になります。ゲームソフト側がDirectStorageに対応している必要があります。

ゲームモードについて

Western Digital ダッシュボードの画面

Western DigitalのSSDでのゲームモードはSSDの省電力モードを無効化して応答が遅れるのを防ぐ機能です。専用ソフトの「Western Digital ダッシュボード」をインストールする必要があります。ゲームモードのオン/オフの切り替えはPCの再起動が必要になります。

ヒートシンクあり/なしについて

SN850Xはヒートシンク標準搭載のモデルが発売されています。ヒートシンク搭載モデルのヒートシンクを取り外すと保証の対象外となることに注意してください。

NVMe SSD用のクーラーやヒートシンクがない場合はヒートシンク付きモデルを選ぶのが安心です。また、Playstation5対応はヒートシンク搭載モデルのみです。ヒートシンク非搭載モデルはPlaystation5で使用するサポートは受けられず、熱問題で故障する恐れがあります。

猛暑でも問題なく使えるように大型のSSDクーラーを使いたい場合はヒートシンク非搭載の標準モデルを選びましょう。

購入理由

C:ドライブのSN850Xの2TBを使用しているのですが、ゲームをインストールするにはこれでも容量が足りなくなってきたことと、C:ドライブの容量が大きいとWindowsやアプリの不調でバックアップから復元するのに長い時間が掛かってしまうという問題があります。

そこで、D:ドライブで使用しているWD Green SN350 2TBをWD Black SN850X 4TBに取り替えることにしました。

SN850Xが値下がりして安くなったというのも購入した理由です。

最新世代としてSN7100が発売されましたが、4TBモデルの発表は現時点ではありません。 SN7100はDRAMキャッシュを搭載していないものの、シーケンシャル性能はSN850Xと同等で、発熱と消費電力が低減され、より使いやすい設計になっています。一方で、最大性能以外の安定性を重視する場合は、DRAMキャッシュを搭載したSN850Xの方が優れています。

SN850Xの正統な後継モデルはPCI-E Gen5対応製品となる可能性が高いですが、Gen5モデルは価格が大幅に上昇する傾向にあります。そのため、SN850Xは価格が下がった現在、適切な熱対策を施せば依然としてコストパフォーマンスに優れた選択肢となります。

PR: PCパーツは信頼のパソコン専門ショップで

SN850X WDS400T2X0Eの温度と性能

測定環境は、気温は21℃前後、マザーボードセンサーの温度は34℃前後となっています。

SSDの温度はS.M.A.R.T.値の温度で見ています。

接続環境

  • ヒートシンクなしのM.2 SSD増設拡張カードを使用し、PCIe 4.0(Gen4 x4)スロットに接続
  • SilverStone SST-ECM24を使用し、PCIe 4.0(Gen4 x4)スロットに接続
  • Thermalright HR-09 2280 Proを使用し、マザーボードのM2_2(Gen4 x4)ソケットに接続

PCIe 4.0(Gen4 x4)スロットに接続する拡張カードを使うと、M.2ソケットの代わりにM.2タイプのSSDを追加することができるようになります。

M.2ソケットには切りかけが異なるSATA対応のBキーとNVMe対応のMキーの2種類あることに注意が必要です。1つのソケットでSATAとNVMe両方に対応しているものもあります。

温度結果と冷却の必要性

ヒートシンクなしの状態では、最大温度は92℃に達しました。 SN850Xの動作温度範囲は0~85℃のため、この状態では許容範囲を超えており、故障のリスクが高まる可能性があります。 そのため、ヒートシンクやSSDクーラーの使用は必須と言えます。

4TBモデルの冷却に関する注意点

SN850Xの4TBモデルは基板の両面にチップが実装されています。1TBと2TBは片面チップ、4TBと8TBは基板の裏側にもチップが搭載されています。

SSDの発熱の大部分はフラッシュメモリチップではなく、コントローラー(制御チップ)によるものですが、両面実装の場合、基板裏面の冷却性能が低下しやすいため、注意が必要です。

また、両面を挟み込むタイプのSSDクーラーを使用する際は、平らに圧着させ、チップに過度な負荷がかからないように取り付けることが重要です。

SN850X 4TB WDS400T2X0Eの表面
SN850X 4TBの表面
SN850X 4TB WDS400T2X0Eの背面
SN850X 2TBの裏面
SN850X 2TB WDS200T2X0Eの表面
SN850X 2TBの表面
SN850X 2TB WDS200T2X0Eの背面
SN850X 2TBの裏面

パフォーマンスへの影響

ヒートシンクなしの状態では最大92℃に達しましたが、速度の低下は確認されませんでした。

しかし、SN850Xの動作温度範囲は最大85℃のため、これを超えると故障のリスクが高まる可能性があります。 そのため、安定した動作を維持するためにも、適切な冷却対策が必要です。

SN850X WDS400T2X0Eの温度

SSDクーラー最大温度
ヒートシンク無し92℃
SilverStone SST-ECM2453℃
Thermalright HR-09 2280 pro54℃

ケース内部の温度が変動しているので2℃ぐらいは誤差です。

SST-ECM24はPCI-E拡張カードで横に広がっている大型のヒートシンクによる冷却、HR-09は高さが高くヒートパイプとヒートシンクによる冷却となっています。

ヒートシンク無しのPCI-E拡張カード

ヒートシンク無しの拡張カードにSN850Xを取り付け
M2ソケット増設の拡張カードをPCI-Express x4 スロットに接続

SilverStone SST-ECM24

SilverStone SST-ECM24を使用
M2ソケット増設の拡張カードをPCI-Express x4 スロットに接続

Thermalright HR-09 2280 pro

Thermalright HR-09 2280 proを使用
M2ソケットに接続

Cristal Disk Mark 8.0.6 x64 8GiB 5回

ヒートシンク無し

PCI-E x4 Gen4 + SilverStone SST-ECM24

M2_2 + Thermalright HR-09 2280 pro

SN850X 2TBと4TBの比較

SN850X WDS200T2X0E 2TBは2022年9月に43,800円で購入しました。 SN850X WDS400T2X0E 4TBは2025年3月に42,801円で購入しました。

ほぼ同じ価格で容量が2倍! PCパーツの価格が高騰する中で、非常にお買い得なタイミングで購入できたと言えます。

SN850Xの2TBと4TBの他に、異なるストレージの性能比較は以下のFF14とCrystal Disk Markで比較しています。

ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク Ver. 1.1

ゲームデータの読み込みであるローディングタイムの測定結果です。

読み込みにかかった時間(秒数)を計測しており、数値が小さいほど高速です。

測定方法:

  • 3回測定し、合計値と平均値を算出。
  • 4TBモデルは、ゲーミングモードのオン・オフの両方で測定。
  • ゲーミングモードの切り替えには再起動が必要なため、ゲーム時のみオンにするといった使い方はできません。

ゲーミングモードの特性

ゲーミングモードは、SSDの省電力機能のオン・オフを切り替える設定です。

  • オンの場合
    • 省電力機能が無効になり、応答速度が向上
    • すぐに反応できるよう待機状態を維持するため、消費電力が増加
  • オフの場合
    • 省電力機能が有効になり、待機時の消費電力が低減。
    • その分、アクセス時の応答遅延が発生する可能性あり。

このSSDを省エネ目的で選ぶことは少ないため、基本的にゲーミングモードは常にオンで運用するのが適切でしょう。

FF14 ローディングタイムの結果

3回合計(秒)3回平均(秒)
SN850X 4TB PCI-E_2
ゲームモード OFF
24.1778.059
SN850X 4TB PCI-E_2
ゲームモード ON
23.177.723
SN850X 4TB M2_2
ゲームモード ON
23.7367.912
SN850X 2TB M2_1
ゲームモード ON
23.7587.919
SN350 2TB M2_226.2848.761
SSD 1TB SATA34.39311.464
HDD 16TB SATA53.66917.889
※秒数なので数値が小さいほど早い

比較にSATA HDDとSSD、PCI-E Gen3のNVMe SSD(SN350)を加えました。

SSDの時点でHDDよりも大幅に速く、SN850XはHDDの半分以下の時間で読み込みが終わっています。

ゲームのローディングタイムはゲームモードのオン・オフの違いも明確に現れています。

Crystal Disk Mark 8.0.6 4GiBでの測定

SN850X 4TB以外は使用中のディスクです。そのためベンチマーク上の性能は未使用時よりも遅くでます。特にCドライブで使用しているSN850Xの2TBはベンチマーク中でもシステムでの読み込みなどが発生しやすいです。また、HDDは容量が後ろになるほどベンチマークで使う容量が内周部になるため速度が遅くなります。

SN850X 2TB

SN850X 2TB WDS200T2X0Eのベンチマーク Crystal Disk Mark 4GiB の結果

シンプルに大きなデータ(SEQ1M Q8T1)の読み込みは7000MB/sを超えたPCI-E Gen4らしい性能を発揮しています。2年以上使用してシステムディスクとして使用中のディスクであるため書込性能は下がってしまいますが、下がった状態で6000MB/sは非常に安定しているSSDだと言えます。

2年間使い続けてこの性能だからね!

小さなファイルの大量の読み書き(RND4K Q32T16)でも4700MB/s、書き込みでも2800MB/s出ています。

SN850X 4TB

SN850X 4TB WDS400T2X0Eでゲームモードを無効にした場合のベンチマーク Crystal Disk Mark 4GiB の結果
SN850X 4TB WDS400T2X0Eでゲームモードを有効にした場合のベンチマーク Crystal Disk Mark 4GiB の結果

Crystal Disk Markではゲームモードによる違いは良く分かりません。誤差に埋もれてしまうぐらいの違いです。SSDの省エネ機能は連続した動作中は省エネに入らないので無効にしているのと同じ状態になります。常に動作しているわけではなく、間欠式に動作する場合に影響が大きくなります。

SN850X 2TBでは7100MB/s合った最大性能が6200MB/sとなってしまいました。これは接続ソケットがサブのM2_2を使用していることが最大転送速度の上限が下がってしまう理由として考えられます。M.2ソケットのM2_2ではなくPCIE4(2つ目のPCI-Express x16 スロットで接続はGen4x4になる)に拡張カードで接続した場合も最大6200MB/s程でした。最大速度が1000MB/s低下していますが他の性能は下がっていないため実用上の影響はありません。

使用してないディスクのため小さなファイルの大量の読み書きの性能は使用中のSN850X 2TBより高くなっています。

SN350 2TB

SN350 2TBのベンチマーク Crystal Disk Mark 4GiB の結果

PCI-E Gen3のNVMe SSDなので、最大速度はGen4の半分になります。

小さなファイルの大量の読み書きの性能が遅いので、ダウンロードしたファイルの保存やアプリで作成したファイルの保存と言ったデータドライブ向きとなっています。

WD Green NVMe SSDなので書き込み寿命が短いです。頻繁にファイルを追加しては消したり更新する用途には向きませんが、ファイルを追加していく一方であまり消さない用途には問題ないです。書き込みが少なく読み込みが多い場合は寿命を考慮してもHDDよりもメリットが大きいです。大量の画像を管理したりする場合、SATAのHDDやSSDよりも読み込みの待ち時間が短くて済みます。

SATA SSD WD Blue 1TB

SATA SSD WD Blue 1TBのベンチマーク Crystal Disk Mark 4GiB の結果

SATAなので最大速度は500MB/s以下となります。 小さなファイルの大量の読み書きの性能はHDDよりもとても早いですがNVMe SSDと比べるととても遅いです。

NVMe SSD対応のM.2ソケットは数が少ないため、ディスクを増設する場合は未だSATAを使うこともあります。

安いNVMe SSDとSATA SSDの値段が変わらなくなったため、M.2ソケットがあいている場合はSATA SSDを選ぶメリットはほとんどありません。流通が少なくなっていて安売りも減っています。

HDD MG08ACA16TE 16TB

HDDのベンチマーク Crystal Disk Mark 4GiB の結果

大容量で安いのがHDDの魅力です。

小さなファイルを大量に管理するのには向きませんが、ファイルをたくさん保存できます。

同時にたくさんのファイルを読み書きしない用途ではHDDで問題ありません。

メーカー公表値

転送速度動作時の消費電力アイドル時の消費電力耐久性動作時の温度範囲
SN850X WDS400T2X0E 4TB7300MB/s2400 TBW0~85℃
SN850X WDS200T2X0E 2TB7300MB/s1200 TBW0~85℃
SN350 WDS200T30C 2TB3200MB/s5W5mW (0.005W)100 TBW0~70℃
SATA SSD WDS100T2B0A 1TB560MB/s3.75W56mW (0.056W)500 TBW0~70℃
HDD MG08ACA16TE 16TB262MB/s7.63W4.00W5℃~55℃

SN850Xの消費電力はメーカーのスペックシートに掲載されていませんでした。

耐久性 TBWは書き込みができる総容量となります。同じフラッシュメモリを使用している場合は容量の分書き込み寿命までの総容量が大きくなります。フラッシュメモリの書き込み品質が変わる場合は寿命も変わります。

私が購入しているSSDは寿命で壊れる前に新しいSSDに取り替えています。その間、HDDの故障は何度かあるので、SSDの寿命は突然死以外はあまり気にしなくて良さそうです。大手のメーカーのSSDでは劣化していって壊れるよりも、何らかの理由で突然壊れるとことの方がSSDの故障では多い感じです。安物SSDは劣化が早いという感じのものもあります。

トラブルに対処できない人ほど品質が低いものを使っていてバックアップもしていない傾向が高い気がします。故障しにくい製品の場合でも突然の故障に備えてバックアップは必須だからね!

関連記事

PR 販売店情報

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


日本語の文章でないと受け付けません。コメントはすぐには公開されません。(スパム対策)

目次